神保町の古書店 @ワンダーのブログ
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先頃、ハーラン・エリスンの短編集『死の鳥』(ハヤカワ文庫SF)が発売されました。
ハーラン・エリスンの短編集としては『世界の中心で愛を叫んだけもの』以来になる2冊目ですから、首を長くして待っていたSFファンの方も多かったのではないでしょうか。

ハーラン・エリスンは1934年生まれ、オハイオ州で少年時代を過ごし、オハイオ州立大に進んだものの創作講座の教授と折り合いが悪く中退。56年から短編を発表し始めますが、その頃の評価は芳しく無く、製材所工員、トラックドライバー、コピーライターなど職を点々とした厳しい生活を送っていたようです。その後、ニューヨークに出て、ストリートギャングに混じって生活を送った体験を元に処女長篇『Rumble』を出版。このころ陸軍で兵役についており、ここでも後のエリスン伝説の一幕を飾る逸話を残しながら追い出されるようにして退役してTV業界へ。ここで「アンクルから来た男」「宇宙大作戦」「ラットパトロール」「バットマン」「ハニーにおまかせ」など人気ドラマの脚本に携わったことで、エリスンの作家としての才能が開花したのだと言われています。
事実、60年代中頃からエリスンは、SF作家として質の高い作品を連発し始めます。65年の「「悔い改めよ、ハーレクィン!」とチクタクマンはいった」でヒューゴー賞、ネビュラ賞のダブルクラウンを皮切りに、67年には「おれには口がない、それでもおれは叫ぶ」で短編部門の、「永遠の淵に立つ都市」(宇宙大作戦のシナリオで、後にブリッシュが小説化)でドラマ部門の、編集した『危険なヴィジョン』で特別賞という3部門でのヒューゴー賞受賞という栄誉に輝きました。続く68年「世界の中心で愛を叫んだけもの」、69年には「少年と犬」がこれまたヒューゴー賞に冠し、エリスンの名を不動のものとしました。
こうしてSF作家としての大成功を収めたエリスンでしたが、SFは彼の活動範囲からすればごく一部にすぎず、ミステリでは「鞭打たれた犬たちのうめき」でエドガー賞受賞、テレビ、ラジオ、映画のシナリオなど多数の仕事を抱え、アメコミのシナリオも手掛けるなど、その活躍は多岐にわたります。

当ブログでも以前エリスンが脚本を手掛けたアメコミを取り上げております。
【海外コミック】 小説家が脚本を書いたコミックの話 / 〈HEROES FOR HOPE STARRING THE X-MEN〉、ハーラン・エリスンの〈Detective Comics〉

本日は、そんなエリスンの全仕事とはいきませんが当店からご紹介できるものをピックアップしてみたいと思います。
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ハーラン・エリスン『世界の中心で愛を叫んだけもの』ハヤカワSFシリーズ3306 昭和45年発行
エリスンの作品としては日本では最も知られているであろう表題作を含む、15作を収録した短編集です。
73年に発刊されて以来、文庫に引き継がれる形になりましたが現在まで絶版になることなく発行されてきたというのは、この作品とエリスンのファンが時代を超えて存在し続けている証拠と言えるでしょう。
まえがきの「リオの波」からは、当時のSFの枠を打破しようとしていたエリスンの熱量が伝わってきます。

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アイザック・アシモフ編『世界SF大賞傑作選(ヒューゴーウィナーズ)』シリーズ講談社文庫
作品を出せば、ヒューゴー賞を獲っていたような感のあるエリスンのこと、7冊中2、4、7、8に受賞作が収録されています。
2巻に「「悔い改めよ、ハーレクイン!」とチクタクマンはいった」、4巻に「世界の中心で愛を叫んだけもの」、7巻に先の新刊の表題作でもある「死の鳥」、8巻に「ランゲルハンス島沖を漂流中」(※)となっています。
この『世界SF大賞傑作選』のシリーズは3巻が諸事情で欠番となっており、1、2と4~8巻の全7巻となっております。
このシリーズは収録作品が全てヒューゴー賞受賞作というクオリティの高さに加え、アシモフが各作家各作品に寄せた評が、ウィットに富んだ名調子であることでも知られています。
と、なれば親友でもあり、4回も掲載されることになったエリスンの評たるや、もう遠慮なしにいじり倒しております。
エリスンは、ニューヨーク時代のまだほぼ無名といって良いころから、SF大会などに顔を出しては暴れまわる傲岸不遜なSFファンとして恐r・・・もとい知られていましたが、その若者が、数年後にはヒューゴー賞を独占するような気鋭のSF作家になったものですから、作家たちの間では相当なトラウマになったようで、
別のSF大会で、かつてのエリスンを彷彿とさせる才気煥発な若者が現れたときのエピソードが2巻で紹介されております。

SF作家たちがおびえて顔を見あわせる中で、ひとりがいった、「あれは第二のハーラン・エリスンだぞ」
するとまたひとりが、この人物についてはロバート・シルヴァーバーグというだけで名前は伏せることにするが、こう言った、「今のうちに殺そう」


などなど愉快なエピソードが盛り込まれ、どの作品に付けられた評も、エリスンへの敬意と愛と闘志に溢れた秀逸なものです。
特に、エリスンが誕生したときに国中の妖精が集まった大祝祭のエピソードなど、くれぐれも周囲に人のいるところで読まれませんように。
SF作家界きってのユーモアの達人アシモフの本領が発揮されております。
 ※ 原題に忠実にということで、『死の鳥』では「北緯38度54分西経77度0分13秒 ランゲルハンス島沖を漂流中」となってます。

エリスンとアシモフは顔を合わせば、ウィットに富んだ掛け合いをすることを好んだという相互いに認め合う仲だったのですが、片やSF界の暴れん坊、片やSF界の重鎮という歳の離れた二人がこうも仲良くなったのには、きっかけがあったようで。

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ハーラン・エリスン編『危険なヴィジョン1』ハヤカワ文庫SF 昭和58年発行
こちらの『危険なヴィジョン1』の序文には、有名なアシモフとエリスンのファーストコンタクト。SF大会にて初対面のアシモフにエリスンが「なってねぇなあ!」という強烈な一言を言い放ったエピソードがアシモフの視点から語られています。
この、はねっかえりの若者の暴挙としか思えないエリスンの振る舞いをアシモフは寛大な心(もちろん仕返しをした後)で許し、二人は友情を結ぶことになりました。
この点についてエリスンも注釈を加えているのですが、あの傍若無人にして、相手を選ばずフランク・シナトラにすら噛み付いたというあのエリスンがアシモフに対する敬意と感謝を口にしています。
二人の友情は変わることなく続き、アシモフは自著『ABAの殺人』(創元推理文庫)にエリスンをモデルにした「ダライアス・ジャスト」という人物を登場させ、エリスンは『黒後家蜘蛛の会』シリーズの未収録作を収めてアシモフの没後に刊行された『The Return of the Black Widowers』(未訳)にアシモフを偲ぶ序文を寄せています。

エリスンが編者を務めた『危険なヴィジョン1』は、60年代にアメリカSF界で認知され始めた「新たな波」“ニュー・ウェーブ”の到来を期して編まれた書下ろしのアンソロジーです。エリスン自身の「世界の縁にたつ都市をさまよう者」をはじめ、呼びかけに応えたシルヴァーバーグ、フィリップ・ホセ・ファーマー、フレデリック・ポール、オールディスらの、それぞれ新しい時代に向けた野心的な作品が収録されています。
『危険なヴィジョン1』とありますように、こちらは2、3も刊行が予定されていましたが、続刊は現在に至るも音沙汰なく…

さて、まだまだあるご紹介の作品は次の記事で。




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