2016/06/18
【ジュヴナイルミステリ】クイーンJr.『緑色の亀の秘密』『赤いリスの秘密』
梅雨入りしたとはいえ、晴天の日はもうすっかり夏の気配を帯びてまいりました。この時期は、そろそろエアコンを入れようか、いやまだ早いという脳内問答が毎年恒例になっております。
そんなエアコンの誘惑に負けそうになりながら、本日ご紹介するのはこちら

ジュナの冒険3『緑色の亀の秘密』ハヤカワ文庫Jr
ジュナの冒険4『赤いリスの秘密』 ハヤカワ文庫Jr
エラリイ・クイーンJr.名義の作品から2点です。
エラリー・クイーンといえば、「悲劇」4部作を書いた際のバーナビー・ロス名義が有名ですが、児童向けに書かれたこちらの『ジュナの冒険シリーズ』ではエラリー・クイーンJr.名義が使われております。
本シリーズではクイーンらしい謎解きはもちろんのこととして、児童小説ならではの味として、主人公ジュナ少年が知恵を働かせて悪人を相手に大人顔負けの大活躍を見せるという痛快なストーリーがあります。
ジュナが好奇心から調べはじめたことが事件につながっていき、ときに銃を持った凶悪犯や脱獄囚に捕まってしまうハラハラする展開と、あわやというところで駆けつける警察などお約束ながら、子供時代に出会いたかった正統派なお話です。
こちらの『緑色の亀の秘密』と『赤いリスの秘密』は、もちろんそれぞれに独立した物語として読めるのですが、3巻がジュナの叔母の姉の面倒を見に来た街での冒険で、4巻はそこから家のあるエデンボロに帰る際の出来事となっています。
また、このシリーズには都筑道夫がそれぞれに解説を添えており、子供向けに分かりやすく噛み砕いて書かれていながら、そこには大人になって読んでもなるほどなぁと思わせる奥深さがあります。
例えば
“ふつうの小説は、事件のはじまるところから、はじまって、おわるところで、おわるものですが、本格推理小説は、事件のおわったところから、はじまります。”――――― 『赤いリスの秘密』解説260頁より
なんとも簡便にして明快な語り口でありながら本質を突いた説明が、若い読者のために意を用いている様を伺わせます。
解説だけでなく、巻頭にはそれぞれの訳者が、エラリー・クイーンとその作品について導入を書いており、ハヤカワ文庫のJrレーベル立ち上げ当時の力の入れようが伝わってきます。
夏の気配を感じる季節に、童心を思い出す読書はいかがでしょうか?
補遺
シリーズ第9巻にあたる『紫の鳥の秘密』は残念なことに未だ刊行されておりませんが、
ミステリマガジンにてジュブナイル・ミステリ特集が組まれた際に、2008年2月号No.624から4月号No.626にかけて前中後篇に分けられて収録されました。

現在、当店には前篇中篇の収録されたNo.624、No.625がございます。
惜しいことに後篇のNo.626が欠けております・・・
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