神保町の古書店 @ワンダーのブログ
神田神保町の古書店、アットワンダーです。SF・ミステリ・映画関連品ほか、買取歓迎! 古書探求をお楽しみの後は、2階に併設のブックカフェ二十世紀で珈琲をどうぞ。
201710123456789101112131415161718192021222324252627282930201712
こんにちは、推理・SF担当のスタッフFです。
またまた海外コミックコーナーからのお知らせですが、
今回はミステリ方面に大きくかかわる、DCコミックスのある一冊をごらんいただきます。
ミステリファンの皆様も、ぜひぜひお付き合いください。

いきなりですが、ここで問題です。
皆様、DCコミックスの“DC”、どういう意味かご存知ですか?
そう、〈Detective Comics〉です。
1937年に創刊された、パルプマガジンの流れを汲む探偵コミックアンソロジー誌
1939年27号バットマン/ブルース・ウェイン初登場
以降バットマンの掲載誌として、2011年の新創刊を挟みつつ、
現在まで途切れることなく発行されています。
その版元、Detective Comics社が、幾度かの合併や社名変更を経て、
DCコミックスとなり、今にいたるというわけです。
そんな〈Detective Comics〉誌の看板を長年にわたって背負うバットマンは、
ダークナイト、ケープド・クルセイダーといった有名な通り名の他に、
ワールズ・グレイテスト・ディテクティブ、“世界最高の探偵”という愛称で呼ばれることも!

存じております。目に浮かびます。
「待て待て。世界最高とは聞き捨てならねえな」
と立ち上がる古今東西の名探偵の皆様およびファンの皆様の姿、
そして真の世界最高をめぐって紛糾する光景が。
また、多くの方が、「世界最高なら彼だろう」と、対立候補にあのひとを挙げることでしょう。
よくよく存じております。ですが皆様、ここはどうか、矛を収め、いったん御着席ください。
バットマンとあのひと“世界最高の探偵”候補筆頭ふたりが、
不思議なかたちで共演するコミックがこちらにございます。
ここはひとつ、争いはやめて、どうぞ、ごゆっくりお楽しみください。

(まあガチの立ち合いならバットマンが最強に決まってるんですけどね、
 とそっとつぶやいて、火に油を注ぎつつ)

     detectivecomics572.jpg

〈Detective Comics〉 572号 (DC COMICS 1987年)

1987年刊、〈Detective Comics〉創刊50周年を記念した特大号が入荷しました!
まずはそのカバーアートをじっくりご堪能ください(画: Mike Kaluta)
バットマン初登場の同誌27号を背景に、知恵を合わせる二人の名探偵の姿。
いったい何が起こるのでしょうか?

           doomsdaybook02201512.jpg

"The Doomsday Book"
 脚本: Mike W. Barr
 CHAPTER 1 作画: Alan Davis
 CHAPTER 2 作画: Terry Beatty & Dick Giordano
 CHAPTER 3 作画: Carmine Infantino & Al Vey
 CHAPTER 4 作画: E.R. Cruz
 CHAPTER 5 作画: Alan Davis & Paul Neary

DCコミックスが誇る名探偵たちが、100年越しの難事件に立ち向かう本作は、
五部構成、50ページ超の中編コミックとなっています。
CHAPTER 1・2に登場するのはスラム・ブラッドリー
1937年、〈Detective Comics〉創刊号にて初登場、
バットマン登場後も1949年まで同誌に出演し続けた私立探偵です。
その作者は、翌1938年にスーパーマンを生み出す二人の青年、
ジェリー・シーゲル&ジョー・シャスター
バットマンの先輩であり、スーパーマンの兄ともいえるDCコミックス最古参ヒーロー、
この記念号では、婚約者を誘拐されたトーマス・モーガン氏の依頼で、調査に乗り出します。
バットマンロビン(2代目:ジェイソン・トッド)の助太刀を受けながら、
モーガンの婚約者を見つけ出すスラムですが、メアリー・ワトソンと名乗る婚約者は、
トーマス・モーガンが偽名であることを告白。依頼人の本当の名が明らかになると、
事件は奇妙な色合いを帯び始め……。

CHAPTER 3は、ゴムのように身体を伸ばす名探偵ヒーロー、
エロンゲイテッドマン/ラルフ・ディブニーの視点で幕を開けます。
ロンドンはベイカー街、221Bが襲撃されるのを目撃し、介入したラルフは、
ジョン・H・ワトソン未発表原稿の抹消を目論む、かの悪漢の子孫に遭遇!
原稿には、犯罪界のナポレオンが遺した計画の手がかりが……。

そのワトソンの未発表原稿(1886年)は、続くCHAPTER 4でばっちりコミック化されています。
名探偵シャーロック・ホームズがついに登場!

           doomsdaybook02201512.jpg

シャーロック・ホームズ、その語られざる事件のひとつとして知られる
“赤い蛭”の詳細が、ここで明らかになります。
1975年、1号のみでキャンセルされてしまったDCコミックス版〈SHERLOCK HOLMES〉誌
作画担当E.R. Cruzをふたたび起用した粋な演出にもご注目。

場面が現代に戻ったCHAPTER 5、合流したスラム・ブラッドリーとエロンゲイテッドマンは、
モリアーティの陰謀を食い止めるべく、バットマン&ロビンに加勢を求めます。
かくしてDCコミックスの3大探偵が集結! クライマックスにはこんなサプライズも……。

                        detectiveohgod201512.jpg

あとは読んでのお楽しみ!

今作の脚本を手掛けたのは、この時期同誌のレギュラーを務めていたマイク・W・バー
他に『Batman and the Outsiders』『Camelot 3000』などの代表作を持つライターです。
さて、海外ミステリファンの皆様、この名前にご記憶はございませんか?

(以下、以前別記事で書いた内容とかなり重複いたしますが)

マイク・W・バーは、熱心なエラリー・クイーンファンとしても著名な作家。
コミック化されたクイーン作品についての研究「The Comic Life of Ellery Queen」は、
ハヤカワミステリマガジン94年5月号の特集《マンガこそ秘かな愉しみ》に、
「コミックで読むエラリイ・クイーン」として翻訳掲載されています。

そもそもクイーン『ローマ帽子の謎』に衝撃を受け作家を志したバーは、
1973年EQMM誌に小説を売り込むことに成功し、キャリアをスタートさせました。
そのとき貰ったフレデリック・ダネイからの手紙を今も大事に保管しているそうです。
ちなみに、そのデビュー作のタイトルは「Crime at the Comiconvention」
「コミックコンベンションの犯罪」! じつに興味ぶかい……。

また、バーが1989年に開始したオリジナルシリーズ『The Maze Agency』は、
探偵ジェニファー・メイズと相棒ガブリエル・ウェブが不可解な謎に立ち向かう、
“fair-play whodunit”を謳った本格ミステリコミック。
こちらの第9号「The English Channeler Mystery」では、
名探偵エラリー・クイーンその人が誌面に登場しています。

斯様にコミックとミステリを愛してやまないバーが、間違いなく楽しんで書いたであろう
〈Detective Comics〉50周年記念号、新着商品コーナーに陳列しております。
コミックファンの皆様、ホームズファンの皆様、どうぞおはやめに!

海外コミック探求は、神保町の@ワンダーで!


アメコミ/海外コミック、買います!
copyright © 2004-2005 Powered By FC2ブログ allrights reserved.