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【SFマンガ】 SF誌の藤子不二雄

こんにちは、推理・SF担当のスタッフFです。
突然ですが、藤子不二雄熱がめちゃくちゃに高まったので、(誰しもそういう瞬間がありますよね)
「いくつになっても、この熱い気持ちだけは忘れずにいたいものだ」と雑誌棚へ走り、
掲載誌を3冊ほどピックアップしてまいりました。本日は藤子マンガをご紹介いたします。

「あれっ、日本の漫画雑誌なんて置いてた?」とお思いかもしれませんが、
スタッフFが向かったのは、SFの雑誌コーナー。
弊店で取り扱っているもののいくつかには、藤子不二雄の読切作品が掲載されているのです。

今回ご紹介いたしますSF・異色短篇は、後の藤子・F・不二雄藤本弘によるものです。
ごぞんじ(と書くのも変な感じになるくらい)本邦児童漫画の巨人。
1969年10月には、初の大人向け作品「ミノタウロスの皿」を発表しています。
このとき、相棒の安孫子素雄、後の藤子不二雄A
すでに「黒イせぇるすまん」などのブラックユーモア作品で青年誌に進出し活躍していましたが、
藤本は、メガヒット作『パーマン』のあとに始めた『21エモン』が残念ながらうまくいかず、
『ウメ星デンカ』もアニメ化はしたもののいまいち軌道に乗らず(どちらも名作なのに!)という時期で、
最高傑作『モジャ公』を生み出す一方、懊悩たる思いがあったそうです。
ビッグコミックからの熱烈な依頼で手掛けた「ミノタウロスの皿」に確かな手応えを感じた藤本は、
以降定期的に、高い年齢層へ向けたSF短篇を発表するようになります。
「ミノタウロス」以前の作品「スーパーさん」を含め、
1995年の「異人アンドロ氏」まで、112本のSF・異色短篇が描かれました。

ちなみに、藤本は「ミノタウロス」直後、小学館の学習雑誌で児童漫画の新シリーズも立ち上げています。
机の中から何かが飛び出している予告イラストを掲載したきり、デザインもコンセプトもギリギリまで決まらず、
苦しみの末のひらめきでついに生まれたこの作品こそが、後の代表作『ドラえもん』です。


さてさて、すっかり前置きが長くなってしまいました。
70年代、ビッグコミックと並び大人向け作品の主戦場となっていたのが、早川書房SFマガジン
(この時期藤本は、ハヤカワ文庫SFのニール・R・ジョーンズ《ジェイムスン教授シリーズ》と
ハリイ・ハリスン『宇宙兵ブルース』でカバー・挿絵も手掛けています。)

SFマガジン 1972年2月号 創刊12周年記念特大号
藤子不二雄「自分会議」


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SFマガジン掲載作としては、
先の「21エモン」「ウメ星デンカ」の名バイプレイヤー、ゴンスケ登場の「ドジ田ドジ郎の幸運」
得意の“日常の中に非日常”なSFコメディの体裁で進む最恐短篇「ヒョンヒョロ」に続く三作目。
新しい部屋に越した貧乏学生、どういうわけか見覚えのあるその部屋に、
未来から次々と自分がやってきて、ある決断をせまる……。

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(先述の「ヒョンヒョロ」、同年発表の「わが子スーパーマン」「アチタが見える」とともに
“こども四部作”、などとスタッフFは勝手に呼んでおります)
『ドラえもん』の「ドラえもんだらけ」や「ガッコー仮面登場」を思い起こさせるドタバタ劇の先に、
SF・異色短篇のなかでもトップクラスの切れ味を持った結末が待つ名作です。

SFM創刊12周年を祝した同号は、
小松・星・筒井・眉村・半村・豊田ら日本SF界のレジェンドが揃い踏み、
漫画作品も藤子のみならず、松本零士の読切「衛星2連独房」
手塚治虫の連載「鳥人大系」石森章太郎の連載「新・幻魔大戦」が並ぶ超豪華布陣!


SFマガジン 1974年10月臨時増刊号 特集:世界は破滅する!
藤子不二雄「箱舟はいっぱい」


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当時SFマガジンとミステリマガジンの編集長を兼任していた長島良三が、
真夜中に起こった強めな地震をきっかけに企画した破滅SF特集号、
その競作として描かれた1編です。(というのは恥ずかしながら今回初めて知りました)
ある日、隣に住む細川氏から「土地と新築の家を買ってくれませんか」と持ちかけられた大山氏。
マイホームの夢が実現する、と浮足立つが、そこへノア機構の連絡員と名乗るあやしい男があらわれ……。

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ふたたびささやかれる滅亡の噂、飛び交う脱出ロケット情報に踊らされる人々。その顛末は……。
ここに登場するカレー彗星というのは、もちろんハレー彗星がモデルです。
『ドラえもん』でも、1910年のハレー彗星さわぎを取り上げた「ハリーのしっぽ」が描かれていますね。

同増刊号にはこの他、横田順彌「宇宙ゴミ大戦争」福島正実「聖夜」
クラーク、シルヴァーバーグ、エリスンらの海外破滅SF、
そして石森章太郎の読切「スプーン曲げなんてインチキだ~~!!」が掲載されています。


マンガ奇想天外 NO.10 1982年5月
藤子不二雄「ある日……」


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藤本のSF方面での作品発表は、他誌でも行われています。
奇想天外スターログ、福島正実が企画したムックシリーズ SFファンタジアなど。
マンガ奇想天外に掲載された本作は、とある町の映画同好会の第1回映写会の模様を描いた作品。
アマチュア作家たちが、生活の傍ら製作した8ミリ作品を持ち寄ります。

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あたたかく譲り合い、おたがいを褒めあいながらのなごやかな雰囲気に、
「つまらんです どれもこれもつまらない」とぶちこむ最若手会員の佐久間。
気分を害し、おまえの作品を見せてみろと言う同人たちに、
佐久間は現代の戦りつすべき状況を描いた短篇映画「ある日……」を見せる。

インパクト抜群の結末で名高い本作ですが、
楽しませてくれるのは、頁の大半を割いて描かれるみどりヶ丘シネサークルの作品群。
どれも手間だけはやたらかかっているわりにあまり面白くなさそうなのですが、
とりわけ会長が製作したミニチュア+アニメ映画『STAR WALK』には、
『ドラえもん』などにもたまに表出する藤本の趣味がほの見え、
楽しんで描いたことが想像されます。
それぞれの制作秘話に垣間見える生活感や、それを褒め合うゆるい空気など、
(ラストへの布石ではありますが)ユーモラスな味わいのあるシークエンスです。


と、長々書いてまいりましたが、
藤本弘のSF・異色短篇は、現在では全作品が容易に楽しめるようになっており、
今回ご紹介したものや、SF/文芸誌に発表された他の作品については、
藤子・F・不二雄大全集 SF・異色短篇4巻にまとめられています。
とはいえ、加筆修正が多いのが藤本作品の特徴。初出版が気になる! という方は、
ぜひ古雑誌探求の旅へお出かけください。その際は弊店SF雑誌棚もお忘れなく、というわけで、
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